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──なんでもいいから何かを信じないと、何が起きるかまったくわからない今日をやり過ごすことができない。
角田光代さんの最新長編小説『方舟を燃やす』が、2月29日に新潮社より刊行されます。
1967年から2022年まで、昭和平成令和の時代が舞台となる本作では、ふたりの主人公の人生が描かれます。
山間の小さな町で生まれ育ち、大学進学を機に上京したのちは、公務員として働くようになった柳原飛馬。
幼い頃に亡くした母の、死に至るきっかけを作ったのは自分だったのではないか。長年にわたって母や家族に対して罪悪感を抱えながらも、自らも家庭を築きそして別れた彼は、ボランティア活動に生きがいを見出すようになっていた。
もう一人の主人公・望月不三子は、東京都久我山に生まれ育ちながらも、社会経験を積むほどに自分の家がいかに非文化的で時代遅れかを実感していった。
製菓会社に就職後、結婚を機に専業主婦となった彼女にとって、子育ての支えとなったのは、ある女性が提唱するライフスタイルだった。
口さけ女はいなかった。
恐怖の大王は来なかった。
噂はぜんぶデマだった。
大災害が町を破壊し、疫病が流行し、今もどこかで戦争が起き続けている。
〈何がただしくて何がまちがっているか、ぜったいにわからない今を、起きているできごとの意味がわからない今日を、恐怖でおかしくならずただ生きるために、信じたい現実を信じる。信じたい真実を作ることすらする。〉
本作は、飛馬と不三子、縁もゆかりもなかった二人の人生と、それらが交差する時間を通して、「信じる」ことの意味を問いかける傑作長篇です。
今回コトゴトブックスは、『方舟を燃やす』のサイン本を限定販売します。
角田さんの直筆とともに、作品をお楽しみください。
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